単に誰とでも話せるとか、会話を弾ませられるのでは、コミュニケーション能力としては、あまり有用とは言えません。
わたしは、仕事に役立つ広義のコミュニケーション能力として以下の3つをとりあげたいと思います。
1.傾聴力
2.伝達力
3.コミュニケーションマネージメント
1.傾聴力
「聴く」というのは単に情報として、相手の言った情報を受け取ることではありません。相手に”聴く意思”を伝える姿勢を示したり、
話を最後まで聴く。質問により相手の話を引き出すなど、様々な力が必要です。
会話をコントロールするのは、話手ではなく聴き手なのです。
傾聴力、それは奥深く、コミュニケーションの最も重要な力です。
2.伝達力
『聴く」力に対して、ここでは、話手が「伝える」力を「伝達力」としました。
言葉は情報を伝える方法として不完全です。なぜなら、言葉はシンボルであり、人がその言葉を意味に変換するのは、過去の体験や知識によるしかありません。そして、人それぞれ知識や体験が異なる以上、意味がストレートに伝わることなどあり得ないのです。
そのため、できるだけ正しく意味(伝えたい事柄)を聴き手の中に再現するためには、聴き手が持っている知識や体験を想像し、それに合わせた言葉を選ばなければなりません。
また、相手にこちらが希望する行動を促すためには、相手の感情に訴える演出や視覚化、論理的な構成が必要です。
優れた話者は、優れたプロデューサーなのです。
3.コミュニケーションマネージメント
仕事がルーティンワークからプロジェクトへと比重が移る現代において、いかなるプロジェクトにおいてもコミュニケーションマネージメントが重要な要素になりました。
以前なら、計画をしっかり立てさえすれば、あとはその計画を実行すればよく、ステークホルダーとのコミュニケーションは報告・承認が主でした。
しかし、現在の、変化対応型のアジャイルプロジェクトでは、コミュニケーションコントロールがプロジェクトの成否を分けます。
誰と、どのような頻度で、どのような内容をコミュニケートするのか?そのコミュニケーションの質が、プロジェクトの質を直接的に左右してしまうのです。
一般に”コミュニケーション力が高い”と言われる人々であっても、これらの能力をバランスよく持つのは容易ではありません。しかし、これらは才能ではなく技術です。正しく学び、訓練すれば、誰でも能力が向上します。
変化が激しい現代社会を乗り切るために、是非ともコミュニケーション能力の向上に励まれることをお勧めします。